多系統萎縮症

訪問診療ありよし脳神経内科・嚥下クリニックは新川にある訪問診療・脳神経内科です。通院が困難な方、退院後のケアが必要な方などの在宅療養を24時間体制でサポートいたします。

多系統萎縮症とは

多系統萎縮症(MSA)は、進行性の神経変性疾患で、運動機能や自律神経機能に影響を及ぼします。
この病気は、中年期から高齢期に発症し、男性に多く見られます。
多系統萎縮症には、主に運動機能に影響を与える「MSA-P」と自律神経に影響を与える「MSA-C」の2つのタイプがあります。

多系統萎縮症の原因

多系統萎縮症の原因は完全には解明されていませんが、脳や脊髄の特定の部分における神経細胞の変性が関与しているとされています。
特に、オリゴデンドロサイトと呼ばれる細胞に異常なタンパク質の蓄積が見られ、これが神経細胞の機能障害を引き起こすと考えられています。

多系統萎縮症の症状

多系統萎縮症の症状は個人差がありますが、以下のようなものが見られます。

運動機能の障害

  • 振戦:手や足の震え。
  • 筋強剛:筋肉が硬くなる。
  • 歩行障害:歩行時の不安定さやふらつき。

自律神経の障害

  • 起立性低血圧:立ち上がった時に血圧が急激に下がり、めまいや失神を引き起こす。
  • 排尿障害:尿が出にくい、頻尿、尿失禁など。
  • 消化器症状:便秘や下痢、嚥下障害。

その他の症状

  • 睡眠障害:不眠や睡眠中の呼吸障害。
  • 言語障害:発声や発音が困難になる。

多系統萎縮症の治療法

多系統萎縮症の治療は、主に症状の緩和を目的としています。
現在、根治的な治療法はありませんが、以下の方法で症状を管理します。

薬物療法

  • ドーパミン補充療法:パーキンソン病に似た症状に対して、レボドパなどの薬が使用されます。
  • 自律神経障害の治療:起立性低血圧に対してフルドロコルチゾン、排尿障害に対して抗コリン薬などが使われます。

リハビリテーション

  • 理学療法:筋力やバランスの改善を目指す運動療法。
  • 作業療法:日常生活動作の維持と向上を目指した訓練。

生活習慣の改善

  • バランスの取れた食事と十分な水分摂取。
  • 適度な運動と休息。
  • 立ち上がる際の注意や、排尿・排便の管理方法の工夫。

多系統萎縮症との向き合い方

多系統萎縮症は進行性の病気ですが、適切な治療とサポートにより、生活の質を向上させることができます。
患者さん自身やその家族が病気について理解し、医療チームと協力しながら治療に取り組むことが大切です。
また、同じ病気を持つ人たちとの交流や支援グループの利用も、精神的な支えとなるでしょう。